リスク・コミュニケーションが必要となる局面市民にとって、行政や企業にとって、リスク・コミュニケーションはどのようなときに必要となるのでしょう。 また、誰がどんなときに行わなければならないのか、具体的な状況についても考えたり、 リスク・コミュニケーションの成否が組織に及ぼす影響を考えてみましょう。 市民にとっては人々にとって、リスク・コミュニケーションは、1.自分の健康や安全や、これらに影響を及ぼす環境に関わるリスク と適切な対応方法を知るために、2.直接間接にリスクを生み出す行為についての対立を解消したり社会的な合意形成に関わるために、 3.緊急事態に備えるために必要となります。例えば、新しい薬や医療を受けるかどうかを決めたり、 ごみ焼却場を建設するかどうかを決めたり、自然災害の避難場所を知りたい時に、リスク・コミュニケーションが求められます。 行政や企業にとっては一方、人々を危険から守る責任をもつ行政や企業は、潜在的なリスクを見出し、リスクを評価し、適切な管理方法を決定し、 実行しなければなりません。これらの活動を行う際に、人々がどのような生活をし、どのようにリスクを捉え、 どう行動しやすいかといったことを把握することが適切な決定を行うために重要になります。つまり、 リスク・コミュニケーションによって、行政や企業はリスク・マネジメントに必要な情報を得ることができるのです。 さらに、ごみ焼却場や原子力発電所のような迷惑施設は、しばしば対立や紛争を引き起こしますが、 これらの施設のリスクや便益について議論することが紛争解決への一歩になります。 具体的な状況としては 例えば、化学物質に関しては以下のような状況でリスク・コミュニケーションが必要になると考えられます。 1 行政が事業を実施する場合
このように、リスク・コミュニケーションは、現在の問題だけでなく、過去や将来の環境リスクについて実施されることが求められています。 リスク・コミュニケーションの成否が組織に及ぼす影響は行政や企業が行うリスク・コミュニケーションは、単に情報のやりとりを円滑にするだけではなく、 相互の信頼関係づくりに関わってきます。成功すれば、社会的信頼を得ることができますが、 失敗すれば長年培っていた信頼も一瞬のうちに失ってしまうでしょう。 適切なリスク管理ができなかったり、人々に十分な情報を提供していなかった場合、 行政や企業は社会からの非難と賠償・補償問題をめぐる訴訟に直面しなければなりません。 社会からの非難や不信感は、将来の政策や計画を頓挫させてしまいかねません。職員や社員は誇りを失い、 ストレスをかかえることでしょう。 リスク・コミュニケーションの成否は、対象となっているリスクを管理するためだけでなく、 それに関わる行政や企業の存続にも関わるものであり、組織の経営(運営)問題として考えていく必要があります。 |
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