聴衆:メディアの場合
行政や企業の人々、特に科学者や技術者は、メディアへの対応が苦手だと感じているでしょう。
間違った内容を報道された経験のある人は、二度とメディアの前で話さないと思っているかもしれません。
しかし、あなたが何を感じ、決意していようとも、メディアはやってきます。
情報を出しても出さなくても、メディアは何らかの情報を人々に伝えるのですから、積極的に情報を出して誤報を防ぎ、社会からの批判を避けることが重要です。
あなたは、メディアがあなたの言葉をそのまま伝えると期待してはいけません。
彼らは、対立や紛争事が好きで、住民の意見や感情を報道したがります。
ほとんどの記者や編集者は科学技術の知識や統計学の素養をもっていません。わかりやすい説明を心がけましょう。
また、効果的なメディア対応のためには、ここで示すチェックポイントのほかに重要なことがあります。
第一に、経営層や広報担当者、主要部門の長などがメディア対応訓練を受けることです。
第二に、地元メディアとの良好な関係を築くことです。
事前
- メディアと敵対するのではなく、協力的な関係を作り上げていますか?
- 計画をたてていますか? 誰がどのような役割を果たすか、権限はどこにあるかを明確にしていますか?
- メディアのニーズと興味を知っていますか?
- 地域内で接触することになるメディアのリストを準備していますか?
- 地域担当の記者が誰なのか、その記者の背景、態度、能力について調べていますか?
- 緊急時にメディア専用となる部屋を用意しましょう。
- 記者や編集者のために年1回メディア向け説明会やプラント見学を行いましょう。
- メディア用に情報パッケージを準備していますか?
- 情報パッケージには図表を含んだ背景説明の資料も加えましょう。
- 事前に厳しい質問を想定し、それに備えておきましょう。
- 会社施設のビデオテープのファイルを作成しておきましょう。
- どの発表形式が一番効果的か検討していますか?
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取材や記者発表の後など問い合わせや情報提供が迅速にできるようになっていますか?
- 問題が起こった時だけでなく、常時記者が組織から情報を得られるようにしておきましょう。
- 緊急訓練にメディアを招待しましょう。
- メディアへの対応や問い合わせの記録をとっておきましょう。
- 間違った情報の掲載や放送についての対応の手順がありますか?
- 記者に情報を流すという会社の方針を従業員全員にしっかり理解させていますか?
直前
- 会社の広報部とメディアへの対応方針(誰が何を伝えるか)を明確にしておきましょう。
期間中
- 住民がメディアとのコミュニケーションの最終的な受け取り手であるということを忘れないようにしましょう。
- 緊急事態の時は住民もメディアもあなたの組織を信用しないということをよく認識しておきましょう。
- メディア専用に社内資料リストを提供しましょう。
- 対応する記者の技術的科学的知識のレベルを知りましょう。メディアが技術的な問題を理解できるように配慮しましょう。
- 自主的になるべく多くの情報を提供しましょう。
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メディアの締切に慣れましょう。
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すべてが記録されているというつもりで。軽はずみに質問に答えないようにしましょう。
- 意見交換の場では重要な問題点を3、4個に絞り、簡潔に答えましょう。
- 間違った情報は礼儀正しく訂正しましょう。
- 組織にとってわかっていることだけを話しましょう。推測を不用意に話してはいけません。
- どの質問に答えるかよく考えて選びましょう。必要なら質問を言い換えるか、質問に同意できない前提が含まれている時は言い直しましょう。
- 平易な文章を使って、正確にはっきり話しましょう。
- あなたの主張がどのような状況によって導き出されているかについて説明しましょう。しかし、事実がそれだけで成り立っていると決めつけてはいけません。
- 類推、例示、たとえ話は注意深く選択して話しましょう。数字をあげる時には図表を用いた方がよいでしょう。
- プロ意識をもって、誠心誠意対応しましょう。けして記者に取り入ろうとしてはいけません。
- 組織の視点にたった話だけをしないようにしましょう。個人的な質問は答えないようにしましょう。
- 広報担当者が組織の方針を理解し支持しているかを確認しておきましょう。
- 緊急事態や問題の深刻さを軽視してはいけません。
- 感情的にならないようにしましょう。
- 異なる見解を尊重しましょう。
- メディアを攻撃してはいけません。
- 住民に関わる問題について冗談を言ってはいけません。
- 嘘をついてはいけません。
- 相手の立場に立って、住民の健康や安全を心にかけていることを示しましょう。
- 緊急時の対応で優れた成果をあげた職員のことを認めて、労をねぎらいましょう。組織内の他の職員の不安を助長させないように気を配りましょう。
- 問題を解決するために何をしているかをはっきり示しましょう。
- 問題点を話せない時はその理由を述べましょう。
- 概略説明の後に質疑応答の時間を必ず設定しましょう。
- 努力しても記者やインタビュアーとの対立を避けることができなかったら、インタビューを丁重に終了させましょう。
- すべての記者を公平に扱いましょう。一人の記者に独占的に情報を与えないようにしましょう。
- もし過去の経験として参考になるようなら、記者会見を記録したり、ビデオを撮ったりしましょう。
事後
- 情報の伝達や関心事への対処においてコミュニケーション活動が効果的であったかを評価しましょう。
- メディアの重要な誤りを速やかに指摘すれば、メディアは誤りを繰り返さないようになります。しかし、取るに足らない誤りに文句をつけないようにしましょう。
- もし不正確な記事が書かれたら、何が間違っているかを明らかにし、伝えましょう。
- 記者と状況について話し合う前に記者の上司と接触しないようにしましょう。よい関係づくりを進めるべきですが、メディアとは一歩引いた接触を心がけるようにしましょう。
- 素晴らしいメデイア報道に対しては躊躇なく称賛を送りましょう。
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