住民集会で話すとき
リスク・コミュニケーションの観点から、住民集会にはプラス面とマイナス面があります。
プラス面は、マスメディアを経由しないで直接地域住民に伝えたいことを話せるということです。
あなたは住民が何に関心をもっているか、どんな意見をもっているかを直接聞くことができます
(ただし、本当に人々と対話ができるかというと、住民集会はそれほど効果的な方法ではありません。→ 公聴会参照)
マイナス面は、敵意のある人々やあなたのコミュニケーション努力を妨害しようとする人々と対峙しなければならないことです。
あなたは厳しい立場に立たされ、尋問されたり、罵られたりするかもしれません。
例えあなたの会社がその地域で長い間操業していても、あなたが行政の職員であっても、
ただそれだけで住民があなたの組織やあなたのことを信用してくれると思ってはいけません。
あなたの考えていることがいかに論理的で最適な解決策であっても、住民が賛成すると思ってはいけません。
常に、リスクに対する住民の認識は自分たちとは違うということを心にとめて、住民が何を心配しているかを把握するよう努めましょう。
住民集会では、わかりやすい説明を心がけることはもちろん、住民と共に問題を解決したいと思っていること、
住民が重要視していることに同感することを示し、あなたの提案する方法が住民にとって十分安全であるということを理解してもらうことを目指しましょう。
事前
- 住民とどう向き合うかについては、地域社会に話すときを参照してください。
- 住民はあなたを信じていないという事をしっかり頭に叩き込んでおきましょう。
- 信頼されていないこと、またもしあれば過去の失敗を素直に認めましょう。
- 不信感を払拭していくために何をすればよいか、住民にアドバイスを求めましょう。
- 様々な受け手がいることを知って、対応を考えていますか?
- 受け手のニーズと関心事を調べていますか?
- 住民のリスク問題に対する反応はあなたとは違っています。リスクの反応に影響を及ぼす要因について学びましょう。(→ リスク認知)
- 公表された情報を解説する資料やその要約版を用意しましょう。
直前
期間中
- 発表内容を相手に合わせて調整しましょう。
会場についてみたら、予想していた人々とは異なる人が多いかもしれません。臨機応変に対応できるようにしましょう。
- 環境保護や安全性といったような問題について、共通の最終目標や価値観を再確認しましょう。
- 日常使う言葉で話しましょう。専門用語や略称は使わないようにしましょう。
- 実際の数値の入ったデータシートに解説を加えながら情報提供しましょう。
- 相手が何かの問題を提起した時に、その問題点について話すようにしましょう。
相手が提起する前から問題点が何かわかっているつもりにならないようにしましょう。
- 住民が取り得る対策などについて具体的な情報を加えましょう。
- あなたのリスク比較が適切かどうか、慎重に検討しましょう。けして、喫煙や車の運転などの自発的なリスクと、あなたの組織がたとえわずかでも加える(住民にとっては)非自発的なリスクを比較してはいけません。(→ リスクを高く感じる要因)
事後
- 情報の伝達や関心事への対処において効果的であったかを評価しましょう。
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