認知能力の限界から生じるバイアス

 どのような情報を使うかだけでなく、どう解釈するかについても、私たちにはバイアスがあります。



正常性バイアス

 ある範囲内であれば、異常性を示す情報を得ていても、なるべく正常であると解釈しようという傾向があります。



楽観主義バイアス

 ある情報を得たとき、それを何か異常な事態が起こるかも知れないと判断するより、日常的な事態と変わらないだろうと、 楽観的に明るい側面から見ようとする傾向があります。私たちにとって危険性を意識することは心理的ストレスになるため、 楽観的にみることで、ストレスを軽減しようという無意識の心の作用でもあります。



カタストロフィー・バイアス

 きわめて稀にしか起こらないけれども、破滅的な被害をもたらすおそれのあるリスクについては、過大評価する傾向があります。 例えば、巨大地震や原子力発電所の事故、天体の衝突などは、非常に大きなリスクがあると感じやすいものです。 この背景には'種の保存'のための行動があると説明されています。種の絶滅を意味するようなリスクはできるだけ避けようと過度な反応をしているのです。



ベテラン・バイアス

 経験が豊富であると、情報を解釈する上で、過去の経験が大きな影響を及ぼします。 このとき、過去の経験と現在の状況が大きく異なる場合、経験は判断を誤らせる原因となります。



バージン・バイアス

 未経験であると、情報を解釈するための手がかりがないことになってしまいます。このため、正しい判断は非常に難しくなります。





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